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砂漠を緑に

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砂防ダムが農家の収入を増やし、若者の流出に変化をもたらす

少し前まで、ラジャスタン州(インド)のシカー地区、アルワ地区の若者は、仕事を求めて都会に出ていました。降雨量が不安定なため農業用水が不足し、家族を養うために農業を諦めるほかなかったためです。

以前の村は年寄りだけでしたが、今は若い人たちが戻ってきました


プロジェクト受益地域に住む老人

「244メートルの深さの井戸でも水を得るのが困難だった」と、村の老人ゴバーダンさんは言います。「灌漑用水をモンスーンの水だけに頼っていたら、水不足になり、若者も仕事を求めて大都市へいってしまいました」

今では、ロータリーの水プロジェクトのおかげで農業が再び黒字となり、若者が村に戻ってきました。砂防ダムをつくり、地面に浸透した雨水が流れ出さないようにすることで収穫が可能になりました。

農家は、この水を利用して井戸の水を確保します。砂防ダムは、一般的なダムのように川をせき止めるものとは異なり、貴重な雨水の流出を防ぐためのものです。

「以前の村は年寄りだけでしたが、今は若い人たちが戻ってきました」と、プロジェクト受益者の一人となったゴバーダンさんは話します。

貯水池

Rotary India Water Conservation Trust(ロータリー・インド水保全トラスト)は、PHD農村開発財団と協力し、2005年から2017年の間に82の砂防ダムを建設。これによって、250,000人を超える地域住民に恩恵をもたらしました。この活動では、ロータリー財団管理委員で、上記トラストの名誉会長を務めるスシル・グブタ氏が中心となってプログラムを推進しました。

  • 82.00

    建設されたダム数(2005年以来)

  • 250000.00

    受益者数

侵食を防ぐダムの高さは4.3メートル、 基盤の深さは2.1メートルです。その集水域は3~7キロに渡ります。

近くの丘から水が集水域へと流れ、そこで約6~8カ月留まります。水がひくと泥と豊かな鉱物が残るため、次のモンスーンが始まる前にもう一回収穫でき、現金収入を得ることが可能になりました。これらのうち20カ所のダムでは常に水が蓄えられており、魚もとることができます。

ゴバーダンさんは、誇らしげに周辺の緑を指差します。。「水が不足していた時は、粟と少しの小麦しか生産できませんでした。今では粟、小麦、野菜(オクラ・トマト・緑の唐辛子など)が収穫できます。井戸の水位も2.4メートルほど高くなりました」

「砂防ダムのおかげで水を手に入れ、農地が劇的に拡大し、収入も激増した」と話すのは、PHD 財団のCEO、アツル・リシさんです。 

「収入が 100~200 倍になった農家もある」と、ムクテイ・ナレイン・ラルさんは話します。「藁葺き屋根の家が良い素材でできたプカハウスに変わり、ラクダが牛に変わり、畑を耕すトラクターもあります」

砂防ダムの高さは4.3メートル、基盤の深さは2.1メートル、集水域は幅3~7キロです。

フィリペ・ダンゲルサーさん(右から 2番目)はダムの落成式に出席。村の住民(右下)は、マリーゴールドの花冠を作ってダンゲルサーさんを歓迎しました。

写真提供:Rasheed Bhagat

ゴバーダンさんの家に集まった農夫の一人によると、仕事を求めて都会に出た5人の息子が皆、村に戻ってきたそうです。水は豊富にあり、穀物も沢山とれる。資金を貯めて最近、約8,000ドル(約88万8千円)のトラクターを購入したそうです。 

砂防ダムは村人が責任をもって管理しています。また、それぞれのダムを監督する委員会が設置され、維持費となる資金も銀行で管理しています。

「ある委員会では、ダムの幅を拡張する計画を立てている」と、地元のIndraprastha-Okhlaロータリークラブ会員で、水保全トラストのプロジェクト責任者をしているアツル・デブさんは話します。「緑があることからも分かるように、砂防ダムのおかげで動物、鳥、植物も生きることができるほどの水を得ることができました」

国境を越えてつながる

2014年 11月、デブさんは、Brumath-Truchtersheim-Kochersbergロータリークラブ(フランス)元会長のフィリペ・ダンゲルサーさんと一緒に、完成した砂防ダムの落成式と、新たにダム建設の起工式に出席しました。

ダンゲルサーさんは、年に 2 回、フランスやドイツのロータリークラブからの寄付金をもってインドを訪れます。これまでに24件のダム建設に資金を投じました。今回は3万ユーロ(約355万円)で、4~5つのダムを作る予定です。ダム一つのコストは12,000ドル(約133万円)で、これに地元の有志が集めた資金が加わります。

ダンゲルサーさんとインドのつながりは、シカゴで行われた2005年ロータリー国際大会に遡ります。第3010地区(現在の第3011地区)のパストガバナー、ランジャン・ディングラ氏がダンゲルサーさんをインドに招待したのです。その後ダンゲルサーさんは、ある農夫から「神が私たちを誕生させ、彼が私たちに命をくれた」と言われるほど熱心な協力者となりました。

これらのダム建設プロジェクトでは、今日までに、ロシアや米国のロータリークラブのほか、教会からも寄付金が寄せられています。

砂防ダムのおかげで動物、鳥、植物も生きることができるほどの水を得ることができました


Indraprastha-Okhlaロータリークラブ(インド)の会員

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